【イラストエッセイ】のり子、マラソン大会に出場する。

2018年9月12日イラストエッセイ, 10代

中学生のころ、マラソン大会に出場することになった。

 

 

強制ではなく、参加は自由だったので出なくても良かったのだが、友達に誘われてその気になってしまった。

 

マラソン大会に出るのは初めてで、緊張しつつも私は少し興奮していた。

 

マラソンコースは、まずは400mのトラックを2周走るところから始まる。

 

 

トラックを2周走った後はグラウンドから出て、一般道を走ってからまたグラウンドに戻るコースになっている。

 

全行程は3km。

 

超余裕です。

 

3km走ったことはないけど、それくらいヨユーヨユー。5kmでもいいくらいだよ。

 

私は自信満々でマラソンに臨んだ。

 

スタート地点では前の方に陣取り、そしてスタートの合図とともに、

 

全速力!

 

他を圧倒する勢いで、私は猛ダッシュした。当然、何十人といる中でトップに立った。

 

後ろに人を従えている気分で、私はひたすらに全速力で駆けた。

 

そのとき私は、

 

確かに風と一体になっていた。

 

私は一陣の風。

 

風に乗り、風とともに走り、風に愛される女。

 

まるで羽が生えたかのように体は軽く、このまま空も飛べそうな心地よさだった。

 

400mのトラックを、1周目は難なく走り抜け、そして2周目。

 

力尽きた。

 

脇腹イタイ。めっちゃイタイ。もう走れないくらいイタイ。

 

たった1周で全力を出し尽くしてしまった。ヤバイ。あと2km以上あるのに。

 

この状態であと2km以上は厳しいんだが。脇腹の痛みが治まらないし、足まで痛くなってきた。

 

ああ、どんどん抜かれていってる……。みんな、足速いなあ……。

 

あと、走ってて思い出したことがある。

 

 

私、運動できない人間だったわ……。

 

特に「走る」のが一番大嫌いで、普段まったく走らないんだよね。どんなに急いでても早足しかしないのに、3kmも走れるわけないじゃん。

 

どうしよう。

 

どうしよう。

 

どうしよう。

 

・・・・・・・・こうなったら。

 

仮病で棄権しよう。

 

私は2周目の途中で、突如として謎の病気に襲われ、激しい咳をし始めた。

 

咳が止まらない。これはいけない。走ってる場合じゃない。

急いで離脱して養生しなければ。

 

私はよろめきながら係員の元へと急いだ。

 

激しい咳をしながら群れから離脱してきた私に、係員が心配そうに近寄ってくる。

 

私は、ここぞとばかりに

 

不調を訴え棄権。

 

胃から何もせりあがっては来なかったが、吐きそうになる演技も忘れなかった。

 

あの数分間は、私は実力派の女優だったと思う。

 

不調は5分ほどで治まったので、そのまま帰った。

 

そしてこの苦い体験を心にしっかり刻んだ私は、それ以降、一度もマラソン大会には参加していない。

 

今でも走るのは大嫌いです。

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