10代

のり子、マラソン大会に出場する。

2018/02/23

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中学生のころ、マラソン大会に出場することになった。

強制ではなく、参加は自由だったので出なくても良かったのだが、友達に誘われてその気になってしまった。

マラソン大会に出るのは初めてで、緊張しつつも私は少し興奮していた。

マラソンコースは、まずは400mのトラックを2周走るところから始まる。

トラックを2周走った後はグラウンドから出て、一般道を走ってからまたグラウンドに戻るコースになっている。

全行程は3km。

超余裕です。

3km走ったことはないけど、それくらいヨユーヨユー。5kmでもいいくらいだよ。

私は自信満々でマラソンに臨んだ。

スタート地点では前の方に陣取り、そしてスタートの合図とともに、

全速力!

他を圧倒する勢いで、私は猛ダッシュした。当然、何十人といる中でトップに立った。

後ろに人を従えている気分で、私はひたすらに全速力で駆けた。

そのとき私は、

確かに風と一体になっていた。

私は一陣の風。

風に乗り、風とともに走り、風に愛される女。

まるで羽が生えたかのように体は軽く、このまま空も飛べそうな心地よさだった。

400mのトラックを、1周目は難なく走り抜け、そして2周目。

力尽きた。

脇腹イタイ。めっちゃイタイ。もう走れないくらいイタイ。

たった1周で全力を出し尽くしてしまった。ヤバイ。あと2km以上あるのに。

この状態であと2km以上は厳しいんだが。脇腹の痛みが治まらないし、足まで痛くなってきた。

ああ、どんどん抜かれていってる……。みんな、足速いなあ……。

あと、走ってて思い出したことがある。

私、運動できない人間だったわ……。

特に「走る」のが一番大嫌いで、普段まったく走らないんだよね。どんなに急いでても早足しかしないのに、3kmも走れるわけないじゃん。

どうしよう。

どうしよう。

どうしよう。

・・・・・・・・こうなったら。

仮病で棄権しよう。

私は2周目の途中で、突如として謎の病気に襲われ、激しい咳をし始めた。

咳が止まらない。これはいけない。走ってる場合じゃない。

急いで離脱して養生しなければ。

私はよろめきながら係員の元へと急いだ。

激しい咳をしながら群れから離脱してきた私に、係員が心配そうに近寄ってくる。

私は、ここぞとばかりに

不調を訴え棄権。

胃から何もせりあがっては来なかったが、吐きそうになる演技も忘れなかった。

あの数分間は、私は実力派の女優だったと思う。

不調は5分ほどで治まったので、そのまま帰った。

そしてこの苦い体験を心にしっかり刻んだ私は、それ以降、一度もマラソン大会には参加していない。

今でも走るのは大嫌いです。

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