幼少期 母のお話

のり子、母の髪をうらやましがる。

2018/02/23

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私がまた小さいころ、母の髪は長かった。

毛は太く量も多い髪に、ソバージュに近いパーマをかけていた母。

外に出る時はたいてい髪を1つにまとめていたが、

普通のゴムでは結べない毛量だった。

そのため、手芸用品店などで売っている一本の長いゴムを買ってきて、それを結んで輪っかにして使っていた。

髪の量が多いということは、抜け毛も多いということだ。

家じゅうに落ちる長い髪。

そんな剛毛のような母の髪を、幼いころの私は、

羨望のまなざしで見ていた。

私は母の髪型が羨ましくて、何度も髪を伸ばそうと試みては飽きて短くするを繰り返すほど、母の長い髪が好きだった。

私が母の髪型が好きになった理由は「ある光景を見てから」で、それまでは特に何も感じたことはなかった。

その「ある光景」を見ていなければ、母の髪に関しては抜け毛がすごいな、くらいにしか思っていなかっただろう。

その「ある光景」とは……。

ある夜、寝ている母の隣で私は見てしまったのだ。

母の髪に入っていく虫を。

うごうごと髪の中に入っていった虫は、そのまま出てこなかった。

指で母の髪をかき分けても、虫らしき物体は見つからなかった。

母の髪は異次元なのか!!

私は非常に驚いた。そして、とても感動したのだ。

母は髪に虫を飼っているのだ。虫は、母の髪の中に巣を作っていて、そこで生活しているのだ。

幼い私は本気でそう考えた。

その日以降、夜になると気を付けて母の髪を観察していたのだが、

髪の中に虫が入っていく光景をよく見た。

虫を飼える母の髪。子供には魅力的だとは思わないだろうか。

ちなみに数年経ってからそのことを母に言ったら、「そういうことは早く言ってよー」と言われた。それで初めて、母は意図的に髪の中に虫を飼っているわけじゃないのだ、と気づいたのだった。

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