【イラストエッセイ】のり子、母の髪をうらやましがる。

2018年9月12日イラストエッセイ, 幼少期, 母のお話

私がまた小さいころ、母の髪は長かった。

 

 

毛は太く量も多い髪に、ソバージュに近いパーマをかけていた母。

 

外に出る時はたいてい髪を1つにまとめていたが、

 

普通のゴムでは結べない毛量だった。

 

そのため、手芸用品店などで売っている一本の長いゴムを買ってきて、それを結んで輪っかにして使っていた。

 

髪の量が多いということは、抜け毛も多いということだ。

 

家じゅうに落ちる長い髪。

 

そんな剛毛のような母の髪を、幼いころの私は、

 

羨望のまなざしで見ていた。

 

私は母の髪型が羨ましくて、何度も髪を伸ばそうと試みては飽きて短くするを繰り返すほど、母の長い髪が好きだった。

 

私が母の髪型が好きになった理由は「ある光景を見てから」で、それまでは特に何も感じたことはなかった。

 

その「ある光景」を見ていなければ、母の髪に関しては抜け毛がすごいな、くらいにしか思っていなかっただろう。

 

その「ある光景」とは……。

 

 

ある夜、寝ている母の隣で私は見てしまったのだ。

 

母の髪に入っていく虫を。

 

うごうごと髪の中に入っていった虫は、そのまま出てこなかった。

 

指で母の髪をかき分けても、虫らしき物体は見つからなかった。

 

母の髪は異次元なのか!!

 

私は非常に驚いた。そして、とても感動したのだ。

 

母は髪に虫を飼っているのだ。虫は、母の髪の中に巣を作っていて、そこで生活しているのだ。

 

幼い私は本気でそう考えた。

 

その日以降、夜になると気を付けて母の髪を観察していたのだが、

 

髪の中に虫が入っていく光景をよく見た。

 

虫を飼える母の髪。子供には魅力的だとは思わないだろうか。

 

ちなみに数年経ってからそのことを母に言ったら、「そういうことは早く言ってよー」と言われた。それで初めて、母は意図的に髪の中に虫を飼っているわけじゃないのだ、と気づいたのだった。

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